みなさんこんにちは!
プラスチックカードの印刷専門店 バズ・プランニングの新入社員、渡邉と申します。
これからみなさんに印刷に関する知識をわかりやすく解説していきます。
プラスチックカード印刷のニーズの中には、ゴールドのカードを作りたいというご要望がとても多いです。
そこで、今回はご紹介する内容はこちら
『特色を使用しない金の表現について』です。
それではさっそくいってみましょう!
目次
金の特色使用には『壁』がある?
突然ですが、デザイナーさんや印刷業界の方でお客様からこんな相談を受けたことはありませんか?
- オンデマンド印刷で金の特色を使いたい
- 金の特色を使いたいが、コストを重視したい
ここでお気づきかもしれませんが、オンデマンド印刷は小ロットを安く発注できる反面、特色に対応ができません。
プラスチックカード印刷においても、金の特色を使用するにはシルクスクリーン印刷やオフセット印刷を用いる必要があるので、小ロット印刷の場合、どうしてもコストが見合いません。
これが特色使用の『壁』です。
このことをお客様に説明すると、
「じゃあ、特色を使わずに金色を表現することはできませんか?」
と返ってくることがほとんどかと思います。
問題を解決して金を表現するには?
解決方法として、CMYKのプロセスカラー※で金色を作成する方法があります。
しかし、金らしく見せるプロセスカラーの配合値というものは何十通りもあります。
こちらが提案した金色でも、それを「金色だ!」と感じる人もいれば「黄土色にしか見えない・・・」と感じる人もいらっしゃいます。
はたまた、屋内でその色を見た時は確かに金に見えたのに、屋外で見ると全く違った色に見えたり…となかなか表現が難しい色です。
そこでバズ・プランニングでは次のような検証を行い、多くの人が様々なシーンで「金」と感じやすい色の検証を行いました。
※CMYKのプロセスカラーとは?
C:シアン(青)
M:マゼンタ(赤)
Y:イエロー(黄)
K:ブラック(黒)
上記の4つの色を指し、フルカラー印刷ではこれらの4色を掛け合わせてさまざまな色を表現しています。
様々な使用場所での見え方を検証
金色と認識される配合値を模索するにあたって、日々”色”を扱っていらっしゃる職種の方だけでなく、プラスチックカード制作を検討されている様々な業種の方にも結果を共有できるような検証にしたいと考えました。
バズ・プランニングのお客様には様々な業種の方がいらっしゃるため、あらゆる場所でプラスチックカードの受け渡しが想定されます。
会員カードや診察券など、実際にカードを見る場所の照明はどのような明かりでしょうか?
オフィス、カフェ、商店街、バー、etc…想像しただけでもいろいろな明かりが考えられます。
実際、手にとってカードを見る場所というのは、発行元のお店であることがほとんどです。
バズ・プランニングにとって、ここで大切なことは「カードを見る場所で、思い通りの色合いが再現されていること」です。
そこで、通常でも認識の誤差が出やすい金色をただ検証をするのではなく、照明の明るさや色温度によって、見え方がどう変わってくるのか?
ここまでを検証内容に盛り込もうと考えました。
検証内容
- 金に近いCMYKの配合値を探る
- 見る場所によってどのくらい金の見え方が変わるのか確かめる
検証方法
STEP:1
プロセスカラーの配合値を変えて、金らしく見える色パターンを30通り作成する。
※カラー選定は、金の特色として使用されやすいDIC619(赤金)とDIC620(青金)を、Illustratorでプロセスカラーに分解し、その配合値を元に調整を加えたものです。
参考
DIC619(赤金):C25 / M39 / Y51 / K0
DIC620(青金):C33 / M37 / Y58 / K0
STEP:2
実際にプラスチックカードに印刷し、サンプルカードを作成。 A〜Fの6グループに分ける。
※今回はクレジットカードと同等の仕様であるPVCカードに印刷をしました。
STEP:3
照明等の光が違う場所で、A〜F各グループごとに「1番金に見える色」に 1人1票ずつ票を入れる。
STEP:4
3で選んだA〜Fそれぞれ1位の色の中から、さらに1票ずつ投票し、全30色の中で最も金色と認識される色を決定する。
検証参加者
- バズ・プランニング代表取締役: 中嶋
- バズ・プランニングスタッフ一同(デザイナー含む)
それでは検証していきましょう!
検証① 昼白色
※画像は実際の見え方と色が異なります。
昼白色は最も馴染みのある光ではないでしょうか?
一般的にオフィスやジム、ショッピングモール等、人が活発に活動しやすい場面で使用されることの多い、白い光の照明です。
このような場所では色にどのような違いがあるのか、さっそく見ていきます。
[各グループ結果]
Aグループ1位 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
Bグループ1位 3 :C25 / M35 / Y70 / K0
Cグループ1位 2 :C30 / M30 / Y70 / K0
Dグループ1位 5 :C30 / M40 / Y80 / K0
Eグループ1位 2 :C35 / M30 / Y70 / K0
Fグループ1位 5 :C35 / M40 / Y80 / K0
[全体グループ結果]
Dグループ 5 :C30 / M40 / Y80 / K0
…となりました!
特徴としては、色彩感覚が近い特定の人同士で意見が揃いやすい傾向にありました。
AさんはCさんと、BさんはDさんと感覚が一致してるイメージです。
次は場所を移して見てみましょう。
検証② 電球色
※画像は実際の見え方と色が異なります。
電球色はくつろぎやすい空間づくりにかかせない温かみのある照明です。
飲食店等、まったりと交流するようなお店で使用されることが多いように感じます。
電球色の場合どう見えるか、さっそく見ていきます。
[各グループ結果]
Aグループ1位 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
Bグループ1位 1 :C25 / M30 / Y60 / K0
Cグループ1位 2 :C30 / M30 / Y70 / K0
Dグループ1位 3 :C30 / M35 / Y70 / K0
Eグループ1位 5 :C35 / M40 / Y70 / K0
Fグループ1位 3 :C35 / M35 / Y70 / K0
[全体グループ結果]
Aグループ 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
こちらは驚きの結果で、ほぼ全員の票が全体的にまとまりました。
大きな気づきとしては、視界が全体に赤みがかるため
- マゼンタの配分が多い色はピンク色に見える
- シアンの配分が多い色は赤みと相殺されて灰色に見える
…といった結果になりました!
次の場所ではどんな結果が見られるのか楽しみです。
検証③ 自然光
次は会社付近の『大須商店街』にやってきました!
平日でも賑わいのある、名古屋市民憩いの場です。
自然光ではこういった商店街、キッチンカーやマルシェ、お寺や観光案内等で印刷物の使用が思いつきます。
晴天の空の下ではどのような見え方になるのか、さっそく検証してみましょう。
※画像は実際の見え方と色が異なります。
[各グループ結果]
Aグループ1位 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
Bグループ1位 3 :C25 / M35 / Y70 / K0
Cグループ1位 2 :C30 / M30 / Y70 / K0
Dグループ1位 3 :C30 / M35 / Y70 / K0
Eグループ1位 5 :C35 / M40 / Y70 / K0
Fグループ1位 5 :C35 / M40 / Y80 / K0
[全体グループ結果]
Aグループ 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
結果は、空の反射が少し影響を受けたのでしょうか。
シアンの配分が多い色が緑に見えてしまうという声が多く上がりました。
しかしここでも最も金に見えたと票を集めた票を集めたのはAグループ2番でした。
次は最後の検証です。
検証④ 薄暗い場所
※画像は実際の見え方と色が異なります。
最後は同じく大須にある珈琲専門店「CAFE CEREZA」さんにやって来ました。
こちらはゴシックな雰囲気の珈琲専門店で、テーブルに花びらが敷き詰めてありました。
このような雰囲気のあるお店では、しっとりした灯りのもとで印刷物を見かけることが多いですね。
検証結果はこちらです!
[各グループ結果]
Aグループ1位 2 :C25 / M30 / Y70 / K0
Bグループ1位 3 :C25 / M35 / Y70 / K0
Cグループ1位 3 :C30 / M35 / Y60 / K0
Dグループ1位 3 :C30 / M35 / Y70 / K0
Eグループ1位 5 :C35 / M40 / Y70 / K0
Fグループ1位 5 :C35 / M40 / Y80 / K0
[全体グループ結果]
Bグループ 3 :C25 / M35 / Y70 / K0
結果は意外にも昼白色の照明の時と同じ色を選択することが多い傾向に。
薄暗さはあまり色の見え方に影響を与えないということなのでしょうか。
全体ではBグループ3番が1位となりました。
なかなか興味深い検証となったのではないでしょうか?
まとめ:最も金色と認識されたものは…
ここまで検証した結果、どの場所でも最も金色らしい!と認識されたものは
Aグループ2番でした!
C25 / M30 / Y70 / K0
その他に票がよく集まった色は次の通りです。
・Bグループ3番 :C25 / M35 / Y70 / K0
・Cグループ2番 :C30 / M30 / Y70 / K0
・Dグループ3番 :C30 / M35 / Y70 / K0
・Eグループ5番 : C35 / M40 / Y70 / K0
・Fグループ5番 :C35 / M40 / Y80 / K0
実はこの色たち、共通点としてイエローの配合値がどれも70〜80%のものでした。
それだけでなく、どの照明でもグループ内1位に選ばれた色は全て、この共通点に当てはまっていたのです!
検証当初はもっと票数に偏りがあるのではないか?と不安もありましたがこうして票が固まった結果を見てみると、金に似せるための配合値は
- シアン、マゼンタの配合値を30%前後で調整
- イエローの配合値を70〜80%に調整
このようにすると失敗が少ないのではないかと思います。
それから、照明によって受ける色の影響をいろいろと検証しましたが、やはりカードを見る場所の照明は、とても重要なポイントになると感じました。
特に電球色や自然光(青空)で、大きく色の変化を感じられたのが興味深かったです。
バズ・プランニングでは今後も、カードを見る場所まで考慮した提案で、お客様にご満足いただけるサービスを提供してまいります!
今回の検証で最も金に見えると票を集めた色と、票数の多かった色を組み合わせて、1枚のサンプルカードとしてご用意いたしました。
配合に悩んだ際や、お客様への提案時などにお役に立てれば幸いです。
実際にお手元で、屋内・屋外での色の見え方の違いを確かめてみるのもおもしろいかもしれません。
次回は金色と同じくお困り事の多い、銀色でも検証をしてみたいと思います。お楽しみに!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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